赤い糸


公立の受験の前日も、私はしんちゃんとバレーボールをして遊んでいた。

受験を舐めている。


そんなの私には関係ない。


別に高校へ行かなくてもいいと思っていたからだ。


ただ、私の受験番号が555番で少し嬉しかった。
ゾロ目!
何となく気分が良かった。


そして、受験当日、私はしんちゃんと一緒にバスに乗った。


そして、しずちゃんも同じ高校を受けていた。
必然的に、しずちゃんとも話をする。
何故なら、しずちゃんは、他に知り合いが居ないからだ。

願書を出す時は、まだ仲が良かったから、しずちゃんの受験番号は556だ。


試験の内容なんて、覚えていない。
多分適当に書いて、その後は机に伏せていたと思う。


試験が終わり、帰りにしんちゃんとマクドナルドに寄って喋っていた。


今考えると、本当に適当な人生を送ってきたのだと思う。
だが、その反面、自由に生きてこれて良かったと思ってる自分もいることは確かだ。


公立の受験が終われば、卒業式だ。

私は、卒業式の少し前に、バッサリと髪の毛を切った。
何となく心機一転したかったのかもしれない。




卒業式は、心の底からダルかった。
みんなと別れる辛さはあるが、濃く付き合ってきたのはしんちゃん以外でも、少人数だ。

その子たちは、家が近いからいつでも会える。
なので、校長先生や、PTAの話が長すぎて、何を言っているのか、全く心に響かない。


式が終わったあとは、普通にみんなで写真を撮りまくった。
友達と、先生と、後輩と、しんちゃんと。


うちの中学のセーラー服は、可愛くて有名だった。
でも、無い物ねだりか、ブレザーに憧れていた。

このセーラー服とも、さよならだね。

しんちゃんと帰ってる時何となく昔話に花が咲いた。


一緒に授業を抜けて、たこ焼きを食べに行った事。
授業を抜けて、非常階段でお弁当を食べた事。

楽しい話は尽きない。

でも、そんな中でのんちゃんの話が出ると切なくなる。

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