赤い糸
次の日、遠足の話題なんてこれっぽっちも出なかった。
いつもの教室。
いつもの匂い。
のんちゃん達は、私が遠足に行けなかったことを残念がっていたが、長話になることは無かった。
美術の授業の時、ポスターを書いた。
私は、たくさんのペンギンの後ろ姿に、グラデーションの夕日。
寂しそうな絵だ。
この絵を見て、誰かが何かを感じてくれると嬉しい。
私は、美術の時間が好きだった。
絵の具の匂いも好きだった。
私は、先生に聞きながら、筆を滑らせていく。
もちろん1日では、完成しない。
続きは、次の美術の時間だ。
ただ、美術は週に2回しかない。
だから、1つの作品を仕上げるのに、長い時間がかかる。
しんちゃんは、コンドームの絵を書いていた。
ストップエイズって書いていたと思う。
みんな、それぞれ、タイトルを決めてポスターを書いていた。
ポスターは、いいものは作品展に飾られる。
でも、誰もそんな事は気にして書いていない。
もちろん、私もその他大勢の1人だった。