甘いキスをわたしに堕として。
それにしても、なんで急にいなくなったんだろう。



わたしだったら、好きな人に何も言わずに立ち去るのは絶対に嫌。



そのときの2人は両思いだったんだよね。



当時の朱里の気持ちを考えると、なんともいえない辛さが襲っただろう。



「…で、まぁあれからもう結構年数経ってるから平気だけど、朱里のなかで美玲はずっと心残りなんだ」



そっか。
そんなの、わたしがどうこうできる問題じゃない、と確信づけられた気がする。



わたしがいくら朱里のことを好きでも、
美玲さんじゃないからその想いを拭い去ることはできない。



“過去と現実”



この言葉が心の奥深くに沈んでいく。
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