甘いキスをわたしに堕として。
ギリギリと拳を握りしめる。


爪が指に食い込んで血が滲む。



っ今すぐここで無念を晴らしたいのに…
それをおこなう力が足りないのが現実。



だけど、ふとあることに気がつく。



_じゃあ、交通事故っていうのは?


病院から電話が来たとき
朱里から聞かされたとき



「お兄ちゃんは交通事故って聞いたけど、それは…?」



「ああ、そんなの作り話だよ。組織によって死んだなんて公の場で言えないだろう?だから交通事故として処分させたんだよ」



つくづく鬼畜だと思った。

殺した上に隠蔽までするなんて。



懲りないっていうか…もう人間としての性質なんてものはない。
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