甘いキスをわたしに堕として。

朱里がどんな表情を浮かべているかなんて分からない。



酷い女でごめん。

強くなくてごめん。



でもきっと朱里なら大丈夫。


わたしがいなくてもきっと大丈夫だから。



「…バイバイ」




聞こえない程度に呟いて、その寂しそうな背中を最後に歩き出す。




「うぅ…ぐすっ…しゅ、り」




我慢していた涙が一気に滝のように流れる。


これでもう二度と会うことはない。




今日＿

わたしは大切な人の手を自ら手放した。