甘いキスをわたしに堕として。
救急車のなかでも俺は藍の手を握りつづけた。


そんなに重症というほどではないらしいが、頭から血が出ているという点で不安な気持ちになる。



…っ春樹さん、俺はまた大事な人を失うんですか?



それだけは絶対に回避したい。



ただただ願うしか他なかった。



【手術中】というランプが消え、医者が手術室から出てくる。



「四ノ宮さんのご家族ですか?」



「いえ、恋人ですけど」



「そうですか。手術は無事に成功しました。頭の傷は3針ほど縫いました。ただ、右足首が捻挫していたのと、所々打撲の症状もあったので、経過入院は必要です」
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