再会した幼馴染に溺愛されています。

「そういう鈍感なところは冬馬の良いところでもあると思うけど……時には人を平気で傷つけてるって事を忘れないで。」


「はあ?訳も話さずにそんな遠回しに言われても分かるわけねえだろ。」


言えない……。
それに言いたくない。


言ってしまうとここで完全に終わってしまいそうだから。


少しでも私は足掻きたい。
けどそれがいつも裏目にばかり出る。


「分からなくていいよ……。もう学校で話しかけないで。それに連絡先も消したから、もう関わらないで!!」


終盤、私は涙に震えながら言い切った。
これでいいんだよ。


足掻きたいけどこういう結末なら、悲しむのは私だけで済むから。


「意味分からねえ事ばっかり言ってんじゃねーよ。ネックレスも外したのか……」


「冬馬……そうやってるといつか痛い目に遭うよ。今までありがとう、普段の学校生活もデートの時も本当に楽しかったよ。」


私は勇気を持って言い切ると、冬馬と目も合わせずにその場を飛び出した。


本当は私の想いを伝えたかったけど、それをしたら悲しむ人が増えるだけ。


「待て!」という声が聞こえるけど、それでも足を止めない。


これでいい……きっと。
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