再会した幼馴染に溺愛されています。
「はあ……」
私は無我夢中で走ると最寄りの駅のベンチで休むことにしていた。
初デートの時の集合場所のここはあの時の景色と違い、スーツ姿のサラリーマンばかりだ。
そして道ゆく人が皆私を見ていく……平日の昼間だし仕方ないよね。
そんな事を考えて紛らわすけど結局、いるはずのない冬馬の姿をつい描いてしまう。
あっ、電車が来た。
あの時もここから二人で電車に乗ったなあ……。
記憶に新しいはずなのに遠い昔のように感じるよ。
『〜〜♪』
あの時と照らし合わせて感傷に浸っていると私のスマホが突然鳴り響く。
思わずビクッとしてしまうけど手に取ると舞からだった。
「……もしもし。」
「秋穂!今どこにいるの?先生は秋穂がいないって大騒ぎだし、滝口くんに聞いても知らないって言われるし……」
目に見えてた事だった。
いくら私がこんな精神状態だとしても学校や社会にはそんな事関係ない。
「ごめん舞……今は……あの、絶対後で話すからさ……」
「そんな事だろうと思って、体調悪くて帰ったっていう設定で話しておいたから。言いたくなったらいくらでも相談しなさいね。」
舞はいつでも舞だ。
言わなくても心を汲んで良い方向に動いてくれる。
いつも感謝ばかりだよ。