再会した幼馴染に溺愛されています。
「とにかく今日のところは学校に戻らないでまっすぐ家に帰ったほうが良いからね。」
「うん……本当にありがとう。」
私は心から感謝をする。
いつだって舞は味方でいてくれたなあ。
私は電話を切ると深いため息をつく。
「どうしよう……」
勢いで飛び出して来たものの、後々面倒だから家にはまだ帰りたくない。
かと言って一人で夕方まで時間潰すのは思い出して辛くなる。
みんな学校だもんなあ……。
せめて夏菜がいればまだ良いのに。
駅のベンチから動けず途方に暮れていたその時だった。
「水野!ここに居たのか!」
声のする方を見て私は驚いた。
「井出くん!?……どうしてここに!」
「へへっ……水野の事が心配でさ、つい学校なんてバックれて来ちまったよ」
井出くんは腕を組み得意げにそう言う。
まさかとは思うけど、私のために?
「そんな……学校に戻りなよ。井出くんまで怒られるよ。」
「何言ってんだよ。俺は普段からこう言う事してるから何ともないんだよ!」
そうだった……。
こういった事に慣れてるんだね。
無邪気に笑う井出くんをほんのちょっとだけ私は見直した。