再会した幼馴染に溺愛されています。
俺は校舎から飛び出して交差点を突っ切る。
アキのいる方を目指して……。
下校時間の真っ最中のためか視界に入るカップルたちが少しばかり羨ましい。
そんな事を思いつつ辺りを見渡すと、歩道の真ん中で俺をジッと見つめる奴と目が合う。
「……井出か。今急いでるんだ、悪いけど相手していられないんだ。」
井出はいつもより態度が悪いというか、明らかに怒ってるような雰囲気が感じ取れる。
「待てよ。ちょっと付き合えよ。」
「……聞こえなかったのか?俺は急いでるって言ったはずだが。」
お前の相手なんかしてる場合じゃねーんだよこっちは。
早くアキに会いたいんだ、邪魔するな。
「……さっきまで俺、水野と一緒だったぜ。」
「お前つまんねえ冗談をもう一度言ってみろ?そんな口叩けなくしてやろうか?」
俺はそれを聞いた途端に気付くと井出に詰め寄り掴みかかっていた。
自分でもここまで怒った事に驚く。
こんなに余裕がなかったんだな俺って……。