再会した幼馴染に溺愛されています。

「お前は水野に本気なんだな!?嘘じゃねえだろうな!!」


「何でお前が主導権握ってるんだよ……。それに本気だ。アキの事を心底愛してる。」


ここまで来たら恥じらいはもう無い。
思った事をストレートに伝えるまでだ。


「良かったじゃねえか……水野。お前騙されてたわけじゃなかったぞ……。」


「お、おい……井出、泣いてるのか?」


井出は空を仰ぎながら袖で目を覆っている。
さすがに俺も戸惑う。


「あーあ!写真の人が本当に滝口の彼女って期待はしたんだけどな〜。でも水野にとって最高の結末で良かった。」


「井出……お前。」


井出がアキに好意を持ってるのは薄々感じてはいたが、ここまで本気だとは……。


「勝てるわけねーよお前なんかに……。俺が上手く呼び出してやるから、水野のもとに行ってやれ。」


「……すまんな。助かる。」


俺も正直なところ心打たれて涙が出そうだ。
こいつは男を見せやがった。


自分の想いが届かない事に決して腐らずに恋敵に花を向けるなんて、誰にでも出来ることなんかじゃねえよ。


ほんの少し見直した。
今だけはカッコいいぞ井出……。
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