再会した幼馴染に溺愛されています。
「中央公園……滝口も知ってるだろ?」
「ああ、知ってる。」
帰りの途中に今まで何度かアキと寄り道した事がある場所だ。
それにアキの家からも近い。
「そこに水野を呼ぶから、行ってやってくれよ。それがあいつにとっても一番だろ。」
「すまないな……恩に着る。」
もし俺が井出と同じ立場なら相手をこうやって笑いながら送り出せるだろうか……?
「おい滝口……もう水野の事泣かせるんじゃねえぞ!もし悲しませたら俺が貰いに行くからな!!」
「分かった。約束する。」
普段の井出からは想像がつかないくらい真剣な顔に、俺も応えよう。
「じゃあ早く行ってやれ。暗くなる前にな、女を夜道に歩かせるなよ!」
「そうさせて貰うよ。井出……ありがとう。」
陽がどんどん沈みゆく中、俺は井出に感謝を込めて会釈を済ませるとその場から猛ダッシュを始める。
……不本意とは言え俺は何人の人を悲しませたんだろうか。
もう誰も悲しませないと近い、足を速める。
──待ってろ。アキ。