再会した幼馴染に溺愛されています。
真相と始まり
灯りをつけてない部屋は薄暗くなり、窓の向こうからはカラスとひぐらしの鳴き声が聞こえてくる。
今日も一日が終わる……
井出くんのおかげで紛れたけど、帰って一人になるとやっぱり鬱になる。
「部屋片付けないとなあ……」
私って結構だらしない方で物がそこら中に散乱している。
7割くらいは夏菜のせいだけど。
A型女子の私は一度スイッチが入ると徹底的に掃除をやり込む癖がある。
でも意外とこれが気分転換だったりする。
よーしやるぞ!!
ソファーの上に脱ぎ散らかした服たち……もっとちゃんとしないとなあ。
そういえばデートの為にクローゼットからこの服たちを引っ張り出したんだっけ。
私ってやっぱダメだなあ。
些細な事から冬馬を連想しちゃう……。
早く忘れないといけないのに。
「わっ!!」
再び意気込んだのにその集中力は着信音を鳴らしたスマホのせいで削がれてしまった。
も〜びっくりしたよ……。
声まで上げちゃった。
「井出くん……?」
電話の相手は井出くんからで、出るかどうか悩んだけど、彼が電話を寄越すのは珍しい事で何か急用かもしれない。
私は応答の画面をタップした。