再会した幼馴染に溺愛されています。
「やあやあ。君たち!さては花火が終わって寂しくなってるな?」
街灯のない暗闇の中から人影が近づいて来るのが分かる。
このしんみりした雰囲気を切り裂く底抜けに明るい声……。
私達は言わずともそれが誰か分かる。
「井出、まだ居たのか。」
「おう!俺らも人混みが無くなってからここで少し話そうと思ってな。」
暗くてよく分からなかったけど目の前に来ると井出くんの横には可愛らしい浴衣に身を包んだ女の子が立っている。
それに手まで握っちゃってる。
もう良い関係になったみたい!
その女の子は私に「よろしくお願いします。」と丁寧に言うと、私と冬馬も軽く自己紹介をした。
井出くんて見かけによらずこういう清楚な女の子が好きなんだね。
「今日から付き合ったんだ!花火をバックにした俺の告白……カッコよかったなあ。」
「……自分で言うなよ。」
井出くんは騒がしいけど周りを考えてこうやって盛り上げてくれる。
きっとそこに彼女も惹かれたんだね。
幸せそうな二人を見て私の肩の荷が少し軽くなった気がした。