再会した幼馴染に溺愛されています。

私と美咲さんは自然と足を動かすのが速くなる。
目当ての電器屋さんに入るなり私たちは真っ先に音楽コーナーへと向かう。


店員が一同に「いらっしゃいませー!」と高らかに発する。この注目のされ方はやっぱり苦手だ……。


「秋穂っち私そういえば良いもの持ってるかも……ちょっと待って。」


美咲さんはそう言うと分厚い財布の中を漁り出して少しすると「あった!」と嬉しそうに言った。


「この電器屋の3割引き優待券だよ。使って秋穂っち。」


「いや!そんな悪いですよ!!」


3割引きって結構大きいし、自分で高い買い物する時に使うべきだよ。


「私買うものないし、早く使わないと期限切れるから。使って欲しい。」


美咲さんは落ち着いた口調で私に商品券を手渡す。
ありふれた紙きれみたいなものだけど、ずっしり重い気がした。


美咲さんには感謝してもしきれない……。


「割引券使っても結構高いね……いくらか手は出しやすい金額にはなるけど。」


「うーん……でもこれくらいなら買えそうですよ。美咲さんのおかげです!」


確かに高いものだけど、商品券のおかげで何とかなりそうだった。
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