再会した幼馴染に溺愛されています。

「色はいかがなさいますか?」


店員さんは今にも泣き出しそうな表情で私に尋ねる。
……なんかごめんなさい。


「黒でしょ!」


私と美咲さんは同時に声を上げた。
そしてお互い顔を合わせて笑っちゃった。


「あいつは黒以外考えられないよね。」


「とにかく黒ですね。ブラックです。」


冬馬が転校して来た時から思っていたけど、イメージカラーは黒だ。
というか果てしなく漆黒……。


店員さんは「かしこまりました。」と丁寧に告げると空気を読んでラッピングまでしてくれる。


私たちは会計を済ませると晴れやかな心で電器屋さんを後にする。


「秋穂っち嬉しそうだね、スキップなんてする人久々に見たよ。」


「あっ!恥ずかしいです……。」


早々に決まった嬉しさと冬馬の喜ぶ顔が思い浮かび、気付かぬ内にスキップしてたみたいで美咲さんに言われて初めて周りの人の視線を感じた。


恥ずかしさよりも何故だかみんな祝福してくれてる気がした。


高い天井の照明でさえ私にそう応えてる錯覚に陥ってしまうよ。
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