再会した幼馴染に溺愛されています。

「あんまいじめると秋穂っちが悲しむだろうからこの辺で勘弁してあげるね!」


「そうしてくれ……。」


幼い頃から美咲は話の主導権を握るタイプで何年経っても俺らの立場は変わらないな。

そう思うと笑えてくる。


「まったく……お前には勝てないな。」


「当たり前でしょ〜。ウチに勝つなんて百年早いっての!」


うぜえけど美咲の存在も俺の支えになってるんだろうな。


「じゃあ俺はそろそろ戻るわ。」


「うん、気をつけて。くれぐれも日曜日は制服着るなよー!」


前言撤回。
まだそれを言うのか……。


俺はニヤニヤして見送る美咲に「バーカ」とだけ告げる。


教室に戻るために階段を静かに降りる。
一段降りるごとに乾いた足音が響く。


俺は独りよがりだった。
恥ずかしいことに何でも自分一人の力でこなせると思っていた。


だが今振り返ると俺は無力で誰かに寄り添わないとダメだと言う事を教えられた。


アキに……。美咲に……。あと、一応だけど井出もか。


だから俺はこれから誰かの為に尽くせるようになろうと思う。
家族、彼女、友人へ。


俺はそんな柄にも無い事を考えながら教室へ向かうのだった。
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