再会した幼馴染に溺愛されています。
「じゃあ明日10時に駅で待ってるから」
残酷なほど時は早く過ぎてしまい、まだまだ話したい気持ちを断ち切るようにいつもの別れ道に辿り着くと冬馬がそう言い出した。
冬馬にだって自分の時間があるから私がワガママ言ってられないよね。
「うん、今日もありがとう。遅刻しないようにするから!」
私は少しでも可愛いと思われたくて、自分なりの笑顔を見せながら言う。
……恥ずかしいけど。
「アキは少しくらい遅れてもいいよ、暇つぶしするのは得意だし」
「いや、そういうわけにはいかないから…」
冬馬は普段見せない優しさをふとした時に見せてくれる。
私にだけ見せてると思うと独り占めした気になって何だか嬉しい。
「じゃあな、アキん家はすぐ近くだから大丈夫だろうけど気をつけて帰れよ」
「冬馬の方こそ……今日もありがとね!また明日ね」
私が言い終わると手を振りながら背中を見せる。
今日はというかあれからキスしてくれてないな……。
ってそんな事思う自分にまた恥ずかしくなり私は自分の頭を「コツン」と叩いた。