再会した幼馴染に溺愛されています。

「おいアキ!もっと笑顔になれよ」


「だって……」


冬馬がそう言ってくれるけどそれは中々難しい願いだった。


だって今ゲームコーナーのプリクラに二人きりなんだもん……。


「アキはこういうの撮ったことあるんだろ?」


「確かにあるけどさあ……」


私は女子としかプリクラを撮った事がない。
なので慣れてるはずの決めポーズや盛れる角度などすっかり忘れている。


「俺は無いから、アキに任せきりになるから今はよろしく」


そんな涼しげに答えないでよ……。


それに周りはカップルばかりで何となく気まずい雰囲気だし。


挙げ句の果てには道ゆく女の子がみんな冬馬をジロジロ見ていたから少し気分が悪い。


「ほらシャッター切られるぞ」


「え?あっ……!」


私は冬馬の声で我に帰ると思わずいつもの顔が出来た。


印刷されたシールにはとびきりの笑顔の二人が写っている。


冬馬の笑顔は珍しい……。
ずっとこういう顔してれば良いのにな。
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