再会した幼馴染に溺愛されています。
「ところで……あんたは滝口くんの事好きなんでしょ?」
すっかり肩を落としている私に斉藤は尋ねてくる。
「うん……好き。大好き……。」
突然の事に混乱して泣きそうになる。
でも必死に堪えて私の想いを告げた。
「はあ〜。まあ私もこれを見てがっかりはしたけどさ……あんたも現実を受け入れなよ」
「そうそう…辛いかもしれねーけどさ、滝口は他に女がいるんだよ」
そんな事考えたくもなかった。
でもまだ付き合ってない以上、いつ起きてもおかしくはなかったんだよね。
どうしよう……何も考えたくない。
「しかも私たちには見せないようなこんな笑顔で仲良く歩いてるし……残念だけどあんたの事は最初から遊びでしかなかったんだよ」
辛い現実に引きずり込むような一言一言で私はどんどん俯いていく。
足元を見るとシミがいくつか出来ていた。
……そうか、私いつの間にか泣いてたんだ。
聞こえてくるセミの鳴き声でさえ私に「諦めろ」と言っているようで悲しかった。