再会した幼馴染に溺愛されています。
「お、おい斉藤!言い方ってもんがあるだろ!水野、あまり思い詰めるなよな……」
「いいんだよ、こういう女には少し現実見せた方が。期待させても辛いだけでしょ」
私が泣いてるのに井出くんは気付いたのか、宥めるように取り持つけど斉藤さんには届かない。
でも斉藤さんの言い分も間違ってない。
期待だけしても私が傷つくだけ。
「隣歩いてる人……三年の先輩だよね、めっちゃ美人の。言っちゃ悪いけどあんたよりお似合いだし大人しく諦めなよ」
「バカ斉藤!おい水野……そんな事ねえぞ?お前だってすごく魅力が……」
斉藤さんの言葉が深く突き刺さる。
井出くんが必死にフォローしてくれるけど、何の慰めにもならない。
「水野さん……滝口くんはね、最初からあんたの事は『好きじゃない』んだよ」
私はその言葉を聞き終える前にその場を飛び出していた。
「あ、水野!待てよ!」
井出くんの声が次第に小さくフェードアウトしていく。
何でこんなに泣いてるんだろう。
いつまでも涙は止まらず、私は走り続けた。