再会した幼馴染に溺愛されています。

ここは第二体育館の女子トイレ。
この時間帯に人が来ない場所を私は選んだ。


私は思い切り泣いた。
こんなに声を上げてワンワン泣いたのはいつ振りだろう……。


でもよく考えると私が勝手に勘違いして舞い上がってただけで冬馬に非はないのかもしれない。


だって「好き」って言われた事はないから。


安易にキスやギューをしてきたのはそりゃ思わせぶりだとは思うけど、学校で話してくれたりデートした事も私へのお礼やお詫びのつもりだとしたらおかしくはないよね……。


もう教室に戻りたくない。


冬馬の顔を直視出来る気がしない。


ちゃんと想いを告げて最高の日にしようって思ってたのに、最低の日になっちゃった。


やっぱ私ってまぬけだよ、勝手に幸せになれると勘違いしてたんだから。


「はあ……」


誰もいないトイレに虚しく私のため息だけが響く。


この場所はお化けが出るとかよくある噂で話題の場所だけどそんな事はどうだって良かった。


とにかく辛い。辛い。


こんなのって辛すぎるよ。
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