再会した幼馴染に溺愛されています。
すれ違い(冬馬side)
────
「おい美咲……いるか?」
俺は昼休みに入ると真っ先に階段を駆け上がり三年の教室へと赴く。
アキは体調悪いみたいだし、今はそっとしておくのが良いんだろ。
「今日もあのイケメンくん来た……」
「美咲良いな〜あんな人と仲良くしてて……」
俺が教室に顔を覗かせるとそんな声がチラホラ聞こえて来る。
うぜえ……こっち見んな。
「お〜トマト!また来たの?どんだけウチが好きなんだよ。」
「……うるせえよ。学校ではその呼び方やめろって」
俺はふざけたあだ名を口にする美咲に注意する。言っても無駄だろうけどな。
「ウチは従姉妹なんだから気にすんなって何度も言ってるでしょ!」
相変わらず高いテンションで近づいて来るのは、従姉妹で小さい頃から一緒に育ってきた美咲だ。
こいつは子供の時から俺を「トマト」と呼んでバカにしてくる。
「で、トマト何の用?」
「お前どうせ暇だろ?今日の放課後もちょっと付き合ってくれよ」
俺が心を開ける異性はこのバカタレとアキぐらいだから、今頼れるのはこいつしかいないんだよな。