再会した幼馴染に溺愛されています。

「あっ滝口くん、どこ行ってたの?」


「ちょっと用事があってな、どこでも良いだろ別に。」


教室に戻るなり斉藤が耳障りなボリュームで話しかけて来るのを流す。
最近やたらと絡んで来るのが鬱陶しい。


「ねえ〜、そんな暗い顔して何かあったの?」


「別に、早く席に戻れよ。」


斉藤に気付かれるなんて、よっぽど表情に出ていたのか?


教室に来てアキを見ると少し辛くなるんだ。


そういえば昨日から様子がおかしい。
よほど体調が優れないのか。
……俺の勘違いだと良いんだがアキが避けてる気がして。


それを想うととても辛い。


気を紛らわすために美咲と話をしに教室を出ていたってのもある。


アキのやつ何かあったのか?
聞いても言ってくれないし、俺は頼りにならねえのかな……。


自分に腹が立つ。


今近くにアキはいるけどここで構ったところで恐らく逆効果だろう。


気を紛らわす第二の方法である読書をして現実から逃げるしか俺には出来なかった。
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