再会した幼馴染に溺愛されています。

「滝口……ちょっと来てくれよ」


「誰かと思ったら井出かよ。悪いけど俺は誰とも話す気分じゃないんだ。」


せっかく集中して本を読んでたのだが、思わぬ邪魔が入りやがる。
だが普段うるさいこいつが何で周りを見ながら耳打ちをしてくるんだ?


「少しで良いからよ、屋上に行こうぜ。」


「……仕方ないな。」


俺が同意した理由は二つある。
まずはこいつのせいで読書の集中力が途切れて教室にいるアキが気になる事。
もう一つは、やたらと腰が低くなった井出の態度を見る限り攻撃の意思はないと思ったからだ。


あの一件以来、やたらと俺に絡むようになったしヘコヘコしてるな。


「へへっ、ついてこいよ」


「言われずとも。もっと急げよ。」


何でこの俺がこいつを追いかけて屋上に出向かないとならないのか疑問だ。


だが俺を呼び出すなんて滅多にない事だ、何か重要な事があるのかもしれない。


俺はセミのうるさい屋上へと姿を出した。










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