再会した幼馴染に溺愛されています。
みんなマイペースでダラダラと校舎内を歩く中、私だけは息を切らして冬馬を探していた。
暑い……。
まして運動が得意じゃない私には結構辛いことだけど、我慢。
でもアテもなく運良く見つけるなんて出来るのかな……?
もう校舎にいない可能性もあるし。
「おう水野。そんなに慌ててどうしたんだよ?」
階段を駆け降りた先に井出くんと斉藤さん達がいる……。
あんな事があった後だし、あまり嬉しくない遭遇だ。
「井出くん……あの、冬馬の事を見てないかな……?」
「あー……この先のロッカーにいると思うけど今は行かない方が……って水野!!」
何故だか井出くんたちは私を止める素振りを見せたけど、私は居場所を聞くと「ありがとう」とだけ言い残してまた駆け出した。
早くしないと帰っちゃうかもしれないからね。急がないと。
この時、確かに嫌な予感はしてたんだ。
でもそんな事を吹き飛ばすくらい心の何処かで私は期待していたんだと思う。