同居人は無口でクールな彼
「…………」
翔哉くんはなにも言わなかった。
立ち止まることなく、ただひたすら前に進むだけ。
「翔哉くん、わたしも一緒に行く」
「……ん」
翔哉くんらしい返事に安心する。
でも、イライラした様子は変わらないみたいで、乱暴に下駄箱を開けていた。
「篠原くん、少し落ち着いて」
「まあ、篠原が怒る理由も分かるけどね」
気づいたら、のんちゃんと灰谷くんも来ていた。
ニコニコと笑いながら、のんちゃんに至っては、ピースサインを向けている。
「2人ともどうして……」
「当たり前じゃん」
「私たちも買い出し班なんだから」
のんちゃんも灰谷くんも、顔は笑っているのに、目が笑っていない。
そうか……
2人とも怒ってくれているんだ。
わたしのために……