同居人は無口でクールな彼



「やっと来たし」

「早く持ってきて、野々村さん」

「あ、うん……」


翔哉くんが持っていたペンキを受け取ると、その時に翔哉くんが舌打ちをした。

きっと今度の舌打ちはクラスメイトに対してではない。

きっと、わたしに対してだ――。


「はい……」

「遅いよー、野々村さん」


のんちゃんたちと仲良くなっても、わたしはクラスメイトには言い返せないまま。

何も変わってない。


この日は文化祭直前ということもあって、みんな浮足立っていたのか。

わたしへの嫌がらせはこれだけでは終わらなかった。


「あ、そうだ。野々村さん」

「…………」

「明日、お化け役やるとき、ペンキ顔に塗って来た人驚かせてよ」

「あの……」

「それいいじゃん。頭からペンキ被ってさ、絶対驚くぜ」




< 160 / 285 >

この作品をシェア

pagetop