同居人は無口でクールな彼
「やっと来たし」
「早く持ってきて、野々村さん」
「あ、うん……」
翔哉くんが持っていたペンキを受け取ると、その時に翔哉くんが舌打ちをした。
きっと今度の舌打ちはクラスメイトに対してではない。
きっと、わたしに対してだ――。
「はい……」
「遅いよー、野々村さん」
のんちゃんたちと仲良くなっても、わたしはクラスメイトには言い返せないまま。
何も変わってない。
この日は文化祭直前ということもあって、みんな浮足立っていたのか。
わたしへの嫌がらせはこれだけでは終わらなかった。
「あ、そうだ。野々村さん」
「…………」
「明日、お化け役やるとき、ペンキ顔に塗って来た人驚かせてよ」
「あの……」
「それいいじゃん。頭からペンキ被ってさ、絶対驚くぜ」