同居人は無口でクールな彼
矛盾した気持ちは、処理しきれなくて。
わたしは、慌てて教室から出ていったのんちゃんを追いかけた。
「のんちゃん……!」
ズンズン先を歩くのんちゃんは、渡り廊下の真ん中で足を止めた。
そして、こっちを振り返った。
「鈴香ちゃん……」
のんちゃんは、泣いているかと思った。
少しドキドキしたのに。
のんちゃんは、どういうわけか、すっきりした顔をしている。
「鈴香ちゃん、ごめんね。約束守れなかった」
「のんちゃん……」
「でも私、後悔してないよ。言いたいこと言えたから」
わたし、本当はこうなることを臨んでいたのかもしれない。
変な意地をはって、のんちゃんを遠ざけた。
でも、のんちゃんの言葉に感動したんだ。
だから、素直に伝えられた。