同居人は無口でクールな彼



「いいね!まわろうまわろう!」

「うおー!テンション上がってきた!」


のんちゃんと灰谷くんはノリノリで、とてもはしゃいでいる。

逆に翔哉くんは表情ひとつ変えない。

そんな翔哉くんに全員が注目した。


「俺は仲良くする気はない」


一貫して、翔哉くんの意見は変わらなかった。

でも、この返答は想定内だ。


「篠原、またそうやって……鈴香ちゃん、悲しませないで」

「…………」


少し怒ったように、のんちゃんは渡り廊下の隅まで歩いていった。

それを灰谷くんが追いかけて、次にわたしもあとに続こうとしたとき――


「別にまわらないとは言ってないから」


後ろで、ぼそっと翔哉くんの声が聞こえてきたのだ。




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