同居人は無口でクールな彼
第20章 伝えたかったこと
バスに揺られること2時間半。
わたしたちはようやく目的地であるアリーナに到着した。
そう――
今日は待ちに待った翔哉くんが出場する空手の大会当日。
“すず、その先は俺が言うから”
“え――?”
“だから、大会が終わるまで、待ってて”
早くあの言葉の続きを聞きたい。
わたしはこの数日間、ずっと気持ちが落ち着かなかった。
「篠原のヤツ大丈夫かな?緊張とかしなさそうだし、大丈夫だよね」
なんだかんだ言って、のんちゃんも翔哉くんのことが心配みたい。
わたしの隣で、珍しく翔哉くんの話題を出すことが多かった。
全校生徒から応援の生徒を募ると、大型バス3台必要になるほどの人数が集まった。
その中にはクラスメイトの姿も多く会って――
でも、バスの中は意外と静かだった。