同居人は無口でクールな彼
第4章 秘密の友達
“よかったな、すず”
メッセージで初めてわたしのことを“すず”と呼んでくれた。
きっとこれからもそう呼んでくれる、そう思ってた。
でも――
翔哉くんのわたしへの態度は今までと変わらない。
「翔哉、もう行くの?」
「今日朝練あるから」
同じ家にいるのに、一度も目が合わなかった。
あれは翔哉くんの気まぐれだったのかな。
あんなに優しいメッセージをくれた彼とは、まるで別人みたい。
だから、一度も名前で呼ばれなかった。
期待していた自分が、少し恥ずかしい。
教室でもいつもと変わらない日常が待っていた。