婚約破棄してくれて、本当にありがとう。〜転生者は、まさかのあの人〜
「ブラッドレイ公爵令嬢」
人目のない王宮の渡り廊下を、衛兵2人に連れられて歩いている時に、腕を掴んでいた彼らの歩みがぴたりと止まった。
「……あの、あなた達は誰ですか?」
そっと二人は私の腕から手を離すと、騎士の礼をしてゆっくりと跪いた。
「先程は乱暴な真似をして申し訳ありませんでした。私はタンセント王宮騎士団長を拝命しておりますエクリュ・ルイスと申します。こちらは、私の副官のセイン・アダムス。あなたを助けるよう、ある方からの命で動いております」
ざっと兜を二人とも外す。
私は驚き、思わず息を止めてしまった。
先程自己紹介をしたエクリュは見事な輝く金髪碧眼を持つ美青年、そして彼から紹介されたセインも短髪の黒髪黒目の美丈夫だったからだ。
「……ある方、というと?」
「この国では至高の存在である方です」
ということは、陛下が? 私は首を傾げながら、今の状況を考えた。
王様も自分の息子であるアーノルドがあんな風に……婚約者であり、幼なじみでもある私の言葉に、一切耳を貸さなくなってしまっていることは知っているんだろうか?
「さ、こちらへ、馬車を用意しております」
私は頷いてエスコートしてくれるエクリュの後に続いた。そのまま、家族の待つブラットレイ公爵邸に帰れるのだろうとそう思いながら。
人目のない王宮の渡り廊下を、衛兵2人に連れられて歩いている時に、腕を掴んでいた彼らの歩みがぴたりと止まった。
「……あの、あなた達は誰ですか?」
そっと二人は私の腕から手を離すと、騎士の礼をしてゆっくりと跪いた。
「先程は乱暴な真似をして申し訳ありませんでした。私はタンセント王宮騎士団長を拝命しておりますエクリュ・ルイスと申します。こちらは、私の副官のセイン・アダムス。あなたを助けるよう、ある方からの命で動いております」
ざっと兜を二人とも外す。
私は驚き、思わず息を止めてしまった。
先程自己紹介をしたエクリュは見事な輝く金髪碧眼を持つ美青年、そして彼から紹介されたセインも短髪の黒髪黒目の美丈夫だったからだ。
「……ある方、というと?」
「この国では至高の存在である方です」
ということは、陛下が? 私は首を傾げながら、今の状況を考えた。
王様も自分の息子であるアーノルドがあんな風に……婚約者であり、幼なじみでもある私の言葉に、一切耳を貸さなくなってしまっていることは知っているんだろうか?
「さ、こちらへ、馬車を用意しております」
私は頷いてエスコートしてくれるエクリュの後に続いた。そのまま、家族の待つブラットレイ公爵邸に帰れるのだろうとそう思いながら。