婚約破棄してくれて、本当にありがとう。〜転生者は、まさかのあの人〜
「エリス様には、私の邸で当分生活をしてもらいます」
そんな爆弾発言があったのは、いかにも高級な馬車に乗り滑らかな動きで出発して、いくらかも経っていない時の出来事だ。
「え?」
「現在はエリス様は牢に居る、ということになっています。事態が落ち着きほとぼりの冷めるまで、私の邸にて静かに過ごして欲しいんです」
エクリュは整った顔を少しだけ照れたようにして、私に向かって言った。
「えっと、でもその、私、未婚ですし……」
そう。この国では、家族以外の未婚の男女が同じ屋根の下で過ごす、ということはそういう風に取られかねない。とても、重要なことなのだ。
「……エリス様には、私や団長含めた騎士団の中から、次の婚約者を選んで良いとのお言葉も頂いております。もし、貴女さえお気に召せば……ですが」
それまでずっと言葉を発しなかった黒髪のセインが、その時初めて私のことをじっと見つめながら言った。
騎士団から、婚約者を選んで良い?!
私は急にドキドキとし始めた心臓に手を当てた。顔はきっと赤くなっている。
タンセント王宮騎士団といえば、美形揃いで有名だ。ここにいるエクリュやセインもがっしりとした筋肉質な肉体を持つ美形だし……なんなら、その他の騎士からも、選んで良いって言うの?
私はよしっ! と無言で両手を握りしめながら思った。
アーノルド、本当になんだか良くわからないけど、婚約破棄してくれてありがとう!
私。これから美形の騎士様、捕まえるね!
そんな爆弾発言があったのは、いかにも高級な馬車に乗り滑らかな動きで出発して、いくらかも経っていない時の出来事だ。
「え?」
「現在はエリス様は牢に居る、ということになっています。事態が落ち着きほとぼりの冷めるまで、私の邸にて静かに過ごして欲しいんです」
エクリュは整った顔を少しだけ照れたようにして、私に向かって言った。
「えっと、でもその、私、未婚ですし……」
そう。この国では、家族以外の未婚の男女が同じ屋根の下で過ごす、ということはそういう風に取られかねない。とても、重要なことなのだ。
「……エリス様には、私や団長含めた騎士団の中から、次の婚約者を選んで良いとのお言葉も頂いております。もし、貴女さえお気に召せば……ですが」
それまでずっと言葉を発しなかった黒髪のセインが、その時初めて私のことをじっと見つめながら言った。
騎士団から、婚約者を選んで良い?!
私は急にドキドキとし始めた心臓に手を当てた。顔はきっと赤くなっている。
タンセント王宮騎士団といえば、美形揃いで有名だ。ここにいるエクリュやセインもがっしりとした筋肉質な肉体を持つ美形だし……なんなら、その他の騎士からも、選んで良いって言うの?
私はよしっ! と無言で両手を握りしめながら思った。
アーノルド、本当になんだか良くわからないけど、婚約破棄してくれてありがとう!
私。これから美形の騎士様、捕まえるね!