婚約破棄してくれて、本当にありがとう。〜転生者は、まさかのあの人〜
「団長、ずるいですよ……エリス様が騎士団から次の婚約者を選ぶとはいえ、自分とセイン以外近づけていないじゃないですか」
「文句を言う暇があるのなら、少しでもエリスの気を引く方法でも考えるんだな。俺は敵に塩は送らないし、絶対に気は抜かないぞ」
団員の一人のボヤきに言葉を返しつつ、隊列を正していく。
これから、騎士団の鍛錬に王の観覧がある。とは言っても、いつもよく分からない無駄話をして終わるのだが。
「おう、エクリュご苦労だな」
王がやって来て、皆一律に姿勢を正す。
「労いのお言葉、ありがとうございます。今日はどのような御用で?」
「いや。儂の前世の推しだったエリスが、命を救われたと聞いてな、これは褒美を与ねばなるまい?」
「推し? ですか?」
エクリュやセインは、不思議そうな表情になった。王は本当に、たまに訳のわからないことを言う。
「そうだ。あの美しい銀色の髪に紫の目可憐な表情、ヴィジュアルを見た時、間違いなくヒロインだと思ったら悪役令嬢でのう。儂がこの世界に生まれ変わった時、必ず彼女を断罪から救わねば、と決心したんじゃよ」
「はあ」
エクリュやセイン、その他の団員達は何とも言えない表情で聞いていた。
「ふっ。まぁ、そういう反応だろうな。お前達の中で、見事エリスを恋に落とすことが出来れば、ある程度の爵位を授けよう。儂がもっと若ければ……自分で幸せにしたんだがのぅ……」
よく分からない王の呟きに耳を貸しつつ、タンセント王国騎士団の面々は麗しいエリス嬢へ、恋慕を濃くするのであった。
fin
「文句を言う暇があるのなら、少しでもエリスの気を引く方法でも考えるんだな。俺は敵に塩は送らないし、絶対に気は抜かないぞ」
団員の一人のボヤきに言葉を返しつつ、隊列を正していく。
これから、騎士団の鍛錬に王の観覧がある。とは言っても、いつもよく分からない無駄話をして終わるのだが。
「おう、エクリュご苦労だな」
王がやって来て、皆一律に姿勢を正す。
「労いのお言葉、ありがとうございます。今日はどのような御用で?」
「いや。儂の前世の推しだったエリスが、命を救われたと聞いてな、これは褒美を与ねばなるまい?」
「推し? ですか?」
エクリュやセインは、不思議そうな表情になった。王は本当に、たまに訳のわからないことを言う。
「そうだ。あの美しい銀色の髪に紫の目可憐な表情、ヴィジュアルを見た時、間違いなくヒロインだと思ったら悪役令嬢でのう。儂がこの世界に生まれ変わった時、必ず彼女を断罪から救わねば、と決心したんじゃよ」
「はあ」
エクリュやセイン、その他の団員達は何とも言えない表情で聞いていた。
「ふっ。まぁ、そういう反応だろうな。お前達の中で、見事エリスを恋に落とすことが出来れば、ある程度の爵位を授けよう。儂がもっと若ければ……自分で幸せにしたんだがのぅ……」
よく分からない王の呟きに耳を貸しつつ、タンセント王国騎士団の面々は麗しいエリス嬢へ、恋慕を濃くするのであった。
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