私の運命は、黙って愛を語る困った人で目が離せない。~もふもふな雪豹騎士にまっしぐらに溺愛されました〜
「全然ダメだな。やり直し」
ネージュはお茶を飲みながら涼しい顔をして、スノウの手渡した書類をパサっと机の上に落とした。今までの何時間かの頑張りが、無になった瞬間だった。落胆して、がっくりと頭を俯かせてしまう。
「……ちゃんと見た?」
顔を上げてむっとした表情をしてみると、ネージュは肩を竦めた。
「ちゃんと見たよ。この計画だと、すぐに数年で破綻する。最初の資金額がそもそもおかしいだろう」
指摘された通りに再度計算してみると、幼い頃から頭脳明晰な噂が近隣に鳴り響いていた兄の言う通りだった。最初の段階で数字が間違っていたら、もうどうしようもない。自分の間抜け具合に大きくため息をつくと、義父イグレシアス伯爵カールが喜び勇んで用意してくれた自分の執務室の奥、最高級の椅子へとドサリと音をさせて座った。
現プリスコット辺境伯の三男スノウは、王都でこの国最高峰に位置する騎士学校では優秀だったが、跡継ぎのニクスやそのスペアであるネージュの兄二人のように、領地経営に関する専門的な教育は必要がないと判断して受けてはいない。
両親は家族で甘やかした末っ子スノウは、堅苦しい貴族に婿入りなどせずに王都で自由に騎士として生きていくのかと思っていたし、スノウ自身もそうするつもりだった。
ネージュはお茶を飲みながら涼しい顔をして、スノウの手渡した書類をパサっと机の上に落とした。今までの何時間かの頑張りが、無になった瞬間だった。落胆して、がっくりと頭を俯かせてしまう。
「……ちゃんと見た?」
顔を上げてむっとした表情をしてみると、ネージュは肩を竦めた。
「ちゃんと見たよ。この計画だと、すぐに数年で破綻する。最初の資金額がそもそもおかしいだろう」
指摘された通りに再度計算してみると、幼い頃から頭脳明晰な噂が近隣に鳴り響いていた兄の言う通りだった。最初の段階で数字が間違っていたら、もうどうしようもない。自分の間抜け具合に大きくため息をつくと、義父イグレシアス伯爵カールが喜び勇んで用意してくれた自分の執務室の奥、最高級の椅子へとドサリと音をさせて座った。
現プリスコット辺境伯の三男スノウは、王都でこの国最高峰に位置する騎士学校では優秀だったが、跡継ぎのニクスやそのスペアであるネージュの兄二人のように、領地経営に関する専門的な教育は必要がないと判断して受けてはいない。
両親は家族で甘やかした末っ子スノウは、堅苦しい貴族に婿入りなどせずに王都で自由に騎士として生きていくのかと思っていたし、スノウ自身もそうするつもりだった。