【完】一途な生徒会長は溺甘以上に独占したくて。
俺が思ってた以上だ
す、すごい……っ。
乗り換え先のホームへ降りたら、同じ制服を着た生徒たちがたくさんいた。
さすが大きい学園は違う。
迷子にならないようにしないと!
スマホを胸の前に近づけて、両手でギュッとにぎった。
迷子になりやすいわたしのために、『ひとりで大丈夫なように』ってお母さんから手書きのメモをもらってきてる。
みんなについて行けば、きっと迷わず学園に着くはず。
そう、心に言い聞かせて歩いた。
今日はずっと楽しみにしてた入学式。
桜が満開の晴れた日に、わたし、小雛 歌桜(こひな かお)は高校1年生になる。
桃色が入ったミルクティーベージュの髪を揺らして、みんなと馴染むように歩いた。
周りを見れば、友達と楽しそうに話しながら登校してる生徒が多い。
クラスがわかる前にもう友達できちゃうなんてすごいな……。
本当は、わたしもひとりで行くはずじゃなかったんだけど……。
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