【完】一途な生徒会長は溺甘以上に独占したくて。
てっきり、藍澤先輩のほうが先だと思ってた。
わたしが合流するときのふたりは、あまり機嫌が良くなさそうだったから……。
そんなわたしがいつもより早く出てきたことに驚いたのか、朔夜くんは目を大きく開いて見てくる。
「歌桜……! ずいぶん早いのな」
持ってたスマホをポケットに入れて、向き合った。
「朔夜くん、おはよう。今日は……ちょっとね」
凌玖先輩に早く会いたくて……ってのは内緒。
「なに? 藍澤先輩はまだ来てないけど」
名前が出てきて反射的にピクリと動いた。
わたし、そんなにわかりやすくは言ってないよね?
顔に出てた……とか?
でも、凌玖先輩だって気づいてくれたなら、早めに伝えよう。
「あ、あのね、朔夜くん」