【完】一途な生徒会長は溺甘以上に独占したくて。
「……ん」
凌玖先輩は立ち上がると、わたしに手を差しのべた。
「歌桜も、立ったほうが直しやすいでしょ? それに、誰が来ても俺で隠れられる」
しぐさの全部が王子様みたいで、またキュンと胸が鳴る。
「ありがとうございます」
綺麗な手をとって、そんなに力を入れずに立ち上がれた。
「終わるまで、絶対に見ないから」
すぐに後ろを向いて広い背中が見えた。
わたしが嫌がることは絶対にしないのが伝わってくる。
なんとなく凌玖先輩だけ背を向けさせてしまってるのが申し訳なかったので、わたしも後ろを向いて直した。
折ってたスカートを戻して、シワを整える。
「もう、大丈夫です」