【完】一途な生徒会長は溺甘以上に独占したくて。
なにかを決意した朔夜くんがわたしの手をとって教室から出た。
涙が出ていて、うまく話せない。
『どこに行くの?』とも聞けないまま連れて行かれたのは別棟の空き教室だった。
手を繋いだまま振り向いて質問する。
「藍澤先輩に嫌なことでもされた?」
その言葉に目を丸くして朔夜くんを見た。
「そんなことない……! 凌玖先輩は悪くない」
「じゃあ、なんで泣いてるんだよ。悲しいことあったんだろ?」
心配そうに声をかけてくれる。
悲しい……のかな。
……うん、きっとそうだ。
わかってはいるはずなのに、どこにも行ってほしくなかった。
いつもみたいに、わたしを1番にしてほしかった。