ただ1人の皇女様
「...ヴァイオリンのお披露目会はまたの機会にしましょう。」


「姫様...」


私はそう言いながら近くにいた侍女にヴァイオリンを渡し壇上を降りパパとエリアーナが居る元へ歩いて行った。



「陛下っ!エリアーナがついに精霊と契約したようですっ!これが娘の価値ですっ!」



「お父...陛下これで私も皇族の一員になれるでしょうか」


どうしよう...パパは価値を見出してみろと言って見事エリアーナは価値を証明した



何もかも完璧なエリアーナを誰も否定出来なかった。


私でさえも...


「面白い。これがお前の価値か」



─ドクンっ...



やっぱりパパはどうしたってエリアーナを必要とするんだな...小説通りに前世通りに進まないといけない


この絵のシーン、この記憶のシーンが鮮明に浮かんでくる。



前のデビュタントもこの風景だった



エリアーナが可愛らしく笑ってパパが口角を上げている、それを外から観望する私。



なんにも変わってない...


もうこの光景見たくないな、、私邪魔だよね...外にでも出ておこう。



「とんだ茶番だ。」


私がこの場を去ろうとした瞬間パパの声に足が止まった。


茶番...?

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