相性がいいみたいなのですっ
「お水、持ってきました」

 身体を何とか起こしたら、カチャッと音がしてソファ前のローテーブルに、水の入ったグラスが置かれたのが見えた。
 ガラスの天板と、グラスが触れ合った乾いた音さえ夢の中の出来事みたいに何処か膜がかかって感じられる。
 僕は何とかグラスを手に取ろうと思うんだけど、なかなか思うように手が伸びてくれなくて。

 マジでやばいな、これ。いつになく酒が回ってる。

 僕はこのざまなのに日織(ひおり)さんは何ともなさそうで。
 ホントお聞きしていた通り――いや、想像以上にお強い。
 僕の完敗だ。まいりましたっ!


 クラクラする頭を抱えてどうしたものかと思っていたら、日織さんが頬にそっと触れていらして。
 ひんやりとした手指の感触に、僕はうっとりと目を細める。

 と、日織さんの手で、眼鏡がそっと外されたのが分かった。


修太郎(しゅうたろう)さん、ちゃんとお水飲まないと駄目なのです」
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