相性がいいみたいなのですっ
修太郎(しゅうたろう)さんが眠ってしまったら……私、何のイタズラしちゃいましょう!?〟

「あ、あの日織(ひおり)さん……僕はいま」

 眠っていませんよ?

 そう続けようとしたのだけれど、「しーっ」と唇に人差し指を添えられて、言葉を封じられてしまう。


「ね、()()()()()()お口開けてください……」

 言って、日織さんが僕の唇に添えていた手をツツッと滑らせるように、そっと合わせ目をなぞる。


「あ、の……」

 ヤバイ。
 日織さんを押し倒す妄想はいつもしているけれど、逆なんて考えたこともなかった――!

 こ、れはどうしたらいいんですかね?

 戸惑う僕に、日織さんの顔が近づいて来る。

「素直に開けないと、こじ開けちゃいますよ?」 


 ひーッ! 日織さんっ!

 ちょっと待って、ちょっと待って。
 これ、どうするのが正解ですか?

 僕の心臓は年甲斐もなく、破裂しそうにバクバクしてしまう。

 戸惑う僕を嬉しげに見下ろす日織さんが、そのまま僕の上に影を落としていらして。

 唇に這わされていた指先が、「ねぇ早く」と促すように、唇の隙間に差し込まれた。
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