旦那様は征服者~慎神編~
「おはよう、莉杏ちゃん」
「おはようございます、成見さん!」
洗濯物を干していると、成見が挨拶をしてきた。
莉杏も見下ろし、挨拶をする。
「莉杏ちゃん、お菓子いらない?」
「え?」
「会社の部下にお土産を貰ったんだけど、俺食べないから!」
成見がお菓子の箱を見せてくる。
「あ、でも…」
「今から届けに行くね!」
「あ!け、結構です!」
屋敷には、防犯カメラがついている。
普段、慎神はカメラは見ない。
しかし、いつ、何のタイミングでカメラが目に入るかわからない。
その為、敷地内に入れるわけにはいかないのだ。
「じゃあ…家に来る?」
「え!?
ご、ごめんなさい!それもちょっと……
わ、私!帰りますね!」
頭を下げ、敷地に帰ったのだった。
少しずつ、成見との距離感が縮まっている。
「距離保たないと…」
なんだか、とんでもないことになりそうだ。
その日慎神が帰って来ると、紙袋を持っていた。
「それ、何?」
「お土産だって!ウチの社員が、旅行に行ったらしくてお菓子だよ!」
「へぇー」
「後から、食べよ?」
そう言って、紙袋からお菓子を出した。
「………これ…」
(成見さんが持ってたヤツと、同じだ……
…………まさか…ね?)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そんなある日の休日。
「おはよ、莉杏!」
「おはよう!」
「今日は、ずーっとくっついてようねー!」
上に被さっている莉杏の頭を撫でながら言った、慎神。
莉杏は、そのまま二度寝しそうになる。
「あ…莉杏、寝ちゃう?」
「ん…なんだか、心地よくて……」
「可愛い~」
「あ、でも!今日、お布団干したいの!慎神くん、手伝ってくれる?」
「もちろん!」
二人で庭に出て、布団を干す。
「うー重い…」
「貸して!よいしょっと!」
慎神が、莉杏から布団を取り干す。
「ありがとう!さすが、男の人だ!」
「フフ…まぁね!」
庭の柵に、キングサイズの掛け布団を干していた慎神。
ふと、下を見て動きが止まる。
「あれ?下、家が建ってる。莉杏、知ってた?」
「え……!?あ、う、うん…」
「へぇー、どんな人が住んでるんだろうね」
「さ、さぁ…?」
「………」
莉杏が答えると、慎神は感情のわからない表情で莉杏を見つめていた。
「な、何?」
「………ううん。引っ越しの挨拶とか、来なかった?」
微笑んだ慎神は、更に問いかけてくる。
「ううん」
「だよねー、挨拶なんて来てたら“とっくに”僕に報告してるはずだし!
ましてや!僕に黙って人と会うなんて、約束破りだし!」
「う、うん…そ、そうだよ!」
「莉杏はお利口さんだから、僕との約束破るわけないし!」
頭をポンポンと撫でて言った、慎神。
その手が、今日はやけに重たい気がした。
「おはようございます、成見さん!」
洗濯物を干していると、成見が挨拶をしてきた。
莉杏も見下ろし、挨拶をする。
「莉杏ちゃん、お菓子いらない?」
「え?」
「会社の部下にお土産を貰ったんだけど、俺食べないから!」
成見がお菓子の箱を見せてくる。
「あ、でも…」
「今から届けに行くね!」
「あ!け、結構です!」
屋敷には、防犯カメラがついている。
普段、慎神はカメラは見ない。
しかし、いつ、何のタイミングでカメラが目に入るかわからない。
その為、敷地内に入れるわけにはいかないのだ。
「じゃあ…家に来る?」
「え!?
ご、ごめんなさい!それもちょっと……
わ、私!帰りますね!」
頭を下げ、敷地に帰ったのだった。
少しずつ、成見との距離感が縮まっている。
「距離保たないと…」
なんだか、とんでもないことになりそうだ。
その日慎神が帰って来ると、紙袋を持っていた。
「それ、何?」
「お土産だって!ウチの社員が、旅行に行ったらしくてお菓子だよ!」
「へぇー」
「後から、食べよ?」
そう言って、紙袋からお菓子を出した。
「………これ…」
(成見さんが持ってたヤツと、同じだ……
…………まさか…ね?)
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そんなある日の休日。
「おはよ、莉杏!」
「おはよう!」
「今日は、ずーっとくっついてようねー!」
上に被さっている莉杏の頭を撫でながら言った、慎神。
莉杏は、そのまま二度寝しそうになる。
「あ…莉杏、寝ちゃう?」
「ん…なんだか、心地よくて……」
「可愛い~」
「あ、でも!今日、お布団干したいの!慎神くん、手伝ってくれる?」
「もちろん!」
二人で庭に出て、布団を干す。
「うー重い…」
「貸して!よいしょっと!」
慎神が、莉杏から布団を取り干す。
「ありがとう!さすが、男の人だ!」
「フフ…まぁね!」
庭の柵に、キングサイズの掛け布団を干していた慎神。
ふと、下を見て動きが止まる。
「あれ?下、家が建ってる。莉杏、知ってた?」
「え……!?あ、う、うん…」
「へぇー、どんな人が住んでるんだろうね」
「さ、さぁ…?」
「………」
莉杏が答えると、慎神は感情のわからない表情で莉杏を見つめていた。
「な、何?」
「………ううん。引っ越しの挨拶とか、来なかった?」
微笑んだ慎神は、更に問いかけてくる。
「ううん」
「だよねー、挨拶なんて来てたら“とっくに”僕に報告してるはずだし!
ましてや!僕に黙って人と会うなんて、約束破りだし!」
「う、うん…そ、そうだよ!」
「莉杏はお利口さんだから、僕との約束破るわけないし!」
頭をポンポンと撫でて言った、慎神。
その手が、今日はやけに重たい気がした。