聖なる夜に、始まる恋
気が付けば、私達は近くのカフェで向かい合っていた。
「無理にとは言わないけど・・・もしよかったら、少し話せないかな?」
遠慮がちに聞いて来た彩さんの言葉に、私が頷いたから。
そして・・・飲み物のオーダーを終えると、また私達の間には微妙な空気が・・・。
私達は高校の1年先輩後輩なんだけど、そんなに親しくはなかったし、会うといつも2人の間には、なんとも言えない空気が漂っていた。というか、私が彩さんを一方的に意識していたという方が正しいんだろう。
「お身体・・・。」
そんな空気を打ち破ろうと、私は口を開いた。
「大丈夫ですか?」
その私の問いに、彩さんはハッとしたように、私を見る。
「うん・・・。」
そして、一瞬、躊躇ったあと、コクリと頷いた。
「何ヶ月ですか?」
「8ヶ月になるの。先週から産休に入って・・・。今日はこれからに備えて、少し買い物をって思って・・・。」
「おめでとうございます。」
「ありがとう。」
テーブル越しに、ふっくらした彩さんのお腹が見える。無意識にかもしれないが、そのお腹に、彩さんがそっと手を当てたのが見えた瞬間、私は思わず目を逸らした。それに気付いて、彩さんも俯く。
せっかく勇気を出して、話し掛けたのに・・・結局台無し。また気まずい空気が私達を支配する。
「京香ちゃん。」
今度は彩さんの方が呼び掛けて来る。その声に視線を戻した私に
「ごめんなさい。」
彩さんが頭を下げた。私が息を呑むと
「あなたが帰って来てるのを、聞いてないわけじゃなかったの。なのに、今まで何の連絡もしなくて・・・。」
「・・・。」
「正直言って、あなたになんて言っていいのかわからなかった。今もそう、思わず声を掛けちゃったけど・・・やっぱりわからない。」
「・・・。」
「でも、この言葉だけはどうしても言わないわけにはいかない。本当にごめんなさい。」
そう言って、また頭を下げて来る彩さん。
「なんで謝るんですか?」
「えっ?」
「私、あなたに謝られる心当たりがないんですけど。」
そう答えた私の口調は、でも自分でも自覚出来るくらい、尖った響きがした。
「無理にとは言わないけど・・・もしよかったら、少し話せないかな?」
遠慮がちに聞いて来た彩さんの言葉に、私が頷いたから。
そして・・・飲み物のオーダーを終えると、また私達の間には微妙な空気が・・・。
私達は高校の1年先輩後輩なんだけど、そんなに親しくはなかったし、会うといつも2人の間には、なんとも言えない空気が漂っていた。というか、私が彩さんを一方的に意識していたという方が正しいんだろう。
「お身体・・・。」
そんな空気を打ち破ろうと、私は口を開いた。
「大丈夫ですか?」
その私の問いに、彩さんはハッとしたように、私を見る。
「うん・・・。」
そして、一瞬、躊躇ったあと、コクリと頷いた。
「何ヶ月ですか?」
「8ヶ月になるの。先週から産休に入って・・・。今日はこれからに備えて、少し買い物をって思って・・・。」
「おめでとうございます。」
「ありがとう。」
テーブル越しに、ふっくらした彩さんのお腹が見える。無意識にかもしれないが、そのお腹に、彩さんがそっと手を当てたのが見えた瞬間、私は思わず目を逸らした。それに気付いて、彩さんも俯く。
せっかく勇気を出して、話し掛けたのに・・・結局台無し。また気まずい空気が私達を支配する。
「京香ちゃん。」
今度は彩さんの方が呼び掛けて来る。その声に視線を戻した私に
「ごめんなさい。」
彩さんが頭を下げた。私が息を呑むと
「あなたが帰って来てるのを、聞いてないわけじゃなかったの。なのに、今まで何の連絡もしなくて・・・。」
「・・・。」
「正直言って、あなたになんて言っていいのかわからなかった。今もそう、思わず声を掛けちゃったけど・・・やっぱりわからない。」
「・・・。」
「でも、この言葉だけはどうしても言わないわけにはいかない。本当にごめんなさい。」
そう言って、また頭を下げて来る彩さん。
「なんで謝るんですか?」
「えっ?」
「私、あなたに謝られる心当たりがないんですけど。」
そう答えた私の口調は、でも自分でも自覚出来るくらい、尖った響きがした。