聖なる夜に、始まる恋
また、沈黙に包まれた私達。すっかり冷めてしまったコーヒーを口にした私は
「尚輝は・・・元気にしてますか?」
唐突に聞いてみた。
「うん、相変わらずだよ。」
そう答えて、微笑んだ彩さんに
「実は、帰って来てから彼から、何度か携帯に連絡をもらったんです。LINEも入ってました。ううん、それだけじゃなくて、私がアメリカに渡った後も、何度もメッセージをくれました。」
私が言う。
「聞いてる。でも京香ちゃんが応えてくれることはなかったって・・・。」
「アメリカまで、乗り込もうとまでしてくれてたみたいです。秀が止めたそうですけど。正直なことを言えば、嬉しかったです。彩さんには申し訳ありませんけど、ああ、私、ちゃんと尚輝に愛されてたんだなって、思っちゃいました。」
「・・・。」
「でも、そう実感出来て、私は自分が間違ってなかったと心から思えたんです。こんなに自分に誠実に向かい合ってくれた人に、自分の本当の気持ちに素直になって、絶対に幸せになって欲しいって。」
「京香ちゃん・・・。」
「そして今、あなたと尚輝が結婚して・・・さっきは、あなたがお腹の彼の子を愛しんでる姿を見ました。心が全く痛まないなんて言ったら、それは嘘になります。でも、これは私が自分で選んだ道なんです。だから・・・2人が結ばれて、彩さんの幸せそうな姿を見て、心から良かったと思ってます。だから、尚輝に伝えてください。私はあなた達を心から祝福します、本当によかったねって。」
私はここで初めて、彩さんに笑顔を向けた。
「京香ちゃん、あなたって人は・・・。」
私の笑顔を見て、彩さんは感極まったような表情になったかと思うと、次の瞬間、ハッとしたように
「ありがとう。」
そう言って、私に頭を下げてくれる。
「止めて下さい、先輩。」
照れ臭くなった私が、ちょっとふざけた口調で言うと
「だから、先輩はよしてって言ったでしょ。」
目にうっすら涙を浮かべながら、でも彩さんも笑っている。たぶん、初めて私たちが笑顔を交わし合えた瞬間だった。
「今日はこうしてお話出来て、本当によかったです。彩さん、元気な赤ちゃんを産んで下さいね。東京から応援してます。」
心が軽くなった私がエ-ルを贈ると
「えっ?京香ちゃん、東京に行っちゃうの?」
驚いたような表情で彩さんが聞いて来る。
「はい。大学時代の恩師の研究室に戻ることになって。そこで教授の助手のようなことをしながら、絵を描くことにしました。」
「そ、そうなんだ・・・。西川くんはそれでいいって言ってるの?」
「えっ?秀には特に何も言ってませんけど。秀がなにか・・・?」
突然、秀の名前が出て来て、戸惑う私に、彩さんも困惑しているようだった。
「尚輝は・・・元気にしてますか?」
唐突に聞いてみた。
「うん、相変わらずだよ。」
そう答えて、微笑んだ彩さんに
「実は、帰って来てから彼から、何度か携帯に連絡をもらったんです。LINEも入ってました。ううん、それだけじゃなくて、私がアメリカに渡った後も、何度もメッセージをくれました。」
私が言う。
「聞いてる。でも京香ちゃんが応えてくれることはなかったって・・・。」
「アメリカまで、乗り込もうとまでしてくれてたみたいです。秀が止めたそうですけど。正直なことを言えば、嬉しかったです。彩さんには申し訳ありませんけど、ああ、私、ちゃんと尚輝に愛されてたんだなって、思っちゃいました。」
「・・・。」
「でも、そう実感出来て、私は自分が間違ってなかったと心から思えたんです。こんなに自分に誠実に向かい合ってくれた人に、自分の本当の気持ちに素直になって、絶対に幸せになって欲しいって。」
「京香ちゃん・・・。」
「そして今、あなたと尚輝が結婚して・・・さっきは、あなたがお腹の彼の子を愛しんでる姿を見ました。心が全く痛まないなんて言ったら、それは嘘になります。でも、これは私が自分で選んだ道なんです。だから・・・2人が結ばれて、彩さんの幸せそうな姿を見て、心から良かったと思ってます。だから、尚輝に伝えてください。私はあなた達を心から祝福します、本当によかったねって。」
私はここで初めて、彩さんに笑顔を向けた。
「京香ちゃん、あなたって人は・・・。」
私の笑顔を見て、彩さんは感極まったような表情になったかと思うと、次の瞬間、ハッとしたように
「ありがとう。」
そう言って、私に頭を下げてくれる。
「止めて下さい、先輩。」
照れ臭くなった私が、ちょっとふざけた口調で言うと
「だから、先輩はよしてって言ったでしょ。」
目にうっすら涙を浮かべながら、でも彩さんも笑っている。たぶん、初めて私たちが笑顔を交わし合えた瞬間だった。
「今日はこうしてお話出来て、本当によかったです。彩さん、元気な赤ちゃんを産んで下さいね。東京から応援してます。」
心が軽くなった私がエ-ルを贈ると
「えっ?京香ちゃん、東京に行っちゃうの?」
驚いたような表情で彩さんが聞いて来る。
「はい。大学時代の恩師の研究室に戻ることになって。そこで教授の助手のようなことをしながら、絵を描くことにしました。」
「そ、そうなんだ・・・。西川くんはそれでいいって言ってるの?」
「えっ?秀には特に何も言ってませんけど。秀がなにか・・・?」
突然、秀の名前が出て来て、戸惑う私に、彩さんも困惑しているようだった。