聖なる夜に、始まる恋
翌朝、目覚めたら、もうお昼を過ぎていた。確かに昨夜は母親と結構話し込んで、夜ふかしになっちゃったし、久しぶりの実家のベッドの寝心地は快適。更に時差ボケもまだ・・・と心の中で必死に言い訳しながら、リビングに降りると、テーブルには朝食(?)の用意と共に友人とランチして来るとの置き手紙が。


母がいなかったことに、何となくホッとしながら、まずは洗面所へ。そして食事を済ませ、後片付けをした後、おもむろに携帯を開く。真っ先に目に入るのは、マーティからのメッセ-ジ。


『京香、昨日はお疲れさん。僕は予定通り、夕方の便でアメリカに戻ります。次にこっちに来る時はもう12月に入ってるはずなんで、それまでにいろいろ考えておいてよ。もちろん、その間に、なにかあったら、必ず連絡をくれよ。京香からの連絡なら24時間オールタイムOKだから。じゃ、シーユ-アゲイン、マイハニ-。』


いかにもマーティらしい文面に、思わず笑みが浮かぶ。多忙な時間を割いて、私の帰国に付き添ってくれた彼は、短い滞在期間ではあったが、ビジネスの傍ら、私の為に、いろいろ駆けずり回ってくれたようだ。


『ありがとう、マーティ。今度会える頃にはクリスマスム-ドがだいぶ高まってるだろうね。じゃまた。忙しいのはわかるけど、ちゃんと睡眠をとるんだよ。』


そう返信した後、他のメッセ-ジにも目を通す。親しい友人達には、帰国、帰郷したことをSNSを通じて連絡したから、じゃ週末に会おうかなんて誘いも何件か来ている。また、いつまでこっちにいるの?これからどうするの?という問い合わせも多い。そんな友人たちの顔を1人1人思い浮かべながら、私はメッセ-ジを読み、そして返信をする。


彼女たちとの再会は楽しみであり、また積もる話もお互いにある。それは楽しみな時間ではあるけど、そんな旧交を温める時間ばかりをのんびり過ごしている余裕は私にはない。


「これからどうするの?」


友人たちからのこの問いに、私はまだ明確に答えることが出来ないのだから。
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