いつまでも、君が大好きです。
「あ、あそこのベンチ座ろ。」
湊都は、あるベンチを指さす。
「、、、そうだね。」
まだ機嫌を治していなかった私は、素っ気なく答える。
「ほら、行くぞ!」
湊都はそう言うと、私がいちご飴を持っていない方の手を握り、歩き出す。
「わ!ちょっと!」
そんな仕草にさえキュンとしてしまう私。
ほんっと、ずるい、、、。

二人でベンチに座り、ひと呼吸する。
「やっぱこのベンチが一番だなー」
「そうだねー。」
ここのベンチは、屋台とか噴水とかがあるここの公園の中央地より少し離れている、一番大きなイチョウの木の下にある。
六つのベンチが、この木を囲むようにして設置してあって、私たちはその六つのうち中央側とは反対側を向いているベンチに座っている。
「、、、懐かしいね。」
「だな。もう二年くらいたった?」
私たちは一昨年の春に付き合い始めた。
理由は湊都の一目惚れ。
一度振ったものの、諦めず告白し続けてくれた湊都の事がいつのまにか気になっていって、結局は私から告白した。
その告白場所が、このベンチ。
あの日から、ここは私たちの原点とも言えるくらい大切な場所。
「あの日は、ほんとドキドキしっぱなしで、大変だったなー。」
「俺も。今日こそは絶対に付き合うんだ!って思ってたら、まさか美奈から言ってくれるなんてさ。」
「私も。当時は考えてもなかったなー。」
そんな他愛ない話をしていると、気づけばもう5時半。
屋台はどうやら四時までだったらしく、中央地の方を覗いて見たら見事に誰もいなかった。
まだ四月ということもあってか、あたりもすこし薄暗くなってきた。
「私たちも、そろそろ帰る?」
そういって立ち上がった時。
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