空のアルペジオ
―――まぁ、本来なら16歳の時に放り出されるはずだったのだ。
けれど、その家のおばあちゃんが諌めてくれたことで、1年の猶予を得た。
そのおばあちゃんも半年前に他界してしまったけれど。
これから…児童福祉やお役所やらに相談に行こう。
どうしたらいいものか、考えあぐねて、それでも必死で自分の中でこれからの予定を組み立てていけば、やっぱり溜息が洩れてきた。
「父さん~……。子どもがひとりで生きて行くのって大変なんだよ…」
膝を抱えてしゃがみこみながら、自分の膝の上に顎を置いて、愚痴をひとつ。
溜息とともに零れだしてくる。
親戚類には、保証人になってもらうのも嫌がられた。
借金をするような男の娘の保証人には、と。
…まぁ、分からなくもないけれど。
でも、すこしばかりお金を持たせてくれたのがせめてもの救い。
そして、取りあえず今が夏なのも幸いだ。
最悪、公園でもどこででも眠れる。
どちらにせよ、どうにかこうにか頑張ってみるしかない。