君の初心者



「紗良、俺紗良のこと好き。大好き」



どきどきが伝わってしまわないか気になってるのに、そんなことを耳元言われたときにはもう、しんじゃいます。

心の準備なんて全くできてないのに、智也くんは突然抱きしめてくるから。



「あ~、もうさ、全部かわいい。好きすぎてどうにかなっちゃいそう」



それはわたしのセリフ!

といいたいところだけど、実際に口にはできない。

それに、智也くんはかわいい、というよりかはかっこいい、というか……。


あ、でも、この前部活のなかった放課後、一緒にパンケーキを食べに行ったんだ。

そのときあのクールで表情変化の少ない智也くんがすっごく幸せそうに口元をほころばせながら食べてて、ああ、かわいいなぁ。と思ってしまった。


こんなこと、本人には絶対言えないけど……。



< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop